11:ミニマルなブラックスーツ(スラックス編)

前回はジャケットを紹介したので今回はスラックスの紹介をしていく。

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「−」のスラックス

ジャケットと同じコンセプトでデザインされている。とにかくミニマルだ。

省いた箇所
  • ウエストベルト
  • サイドシーム
  • 後ろ身頃のクリース
  • ヒップポケット
  • ボタン
  • 膝裏

単純にデザインを省いたわけではなく、それぞれに理由がある。その理由について解説していく。

「−」のウエストベルト

ウエストベルトをなくすことでお腹を締め付けない。椅子に座った時など顕著に効果が表れる。腰で履いているようなイメージを持つと分かりやすいかもしれない。

「−」のサイドシーム

サイドシームレスにすることで生地の質感がダイレクトに出てくる。執拗にクセ取りされたスラックスとはある意味で違うシルエットだ。しかし、通常の2枚はぎのスラックスのパターンを脇で合わせただけでは良いシルエットは生まれない。なぜなら、それはクセ取りをすることが前提のパターンだからである。今回のパターンは「ねじれ」を取り入れることにより、1枚はぎでも立体的なシルエットを作り出すことができた。例えるならメビウスの帯のイメージ。

「−」のクリース

前身頃にはきちんとクリースが付いているのにも関わらず、後ろ身頃には付いていない。これは必然の結果で、前述した筒の「ねじれ」により折り目をつけようにも片方しかつけれなかった。前身頃は真っ直ぐの布目だが、後ろ身頃は歪んだ独特のシルエットになっている。

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「−」のヒップポケット

ヒップポケットを省いた理由は、できるだけ生地が身体から浮いたシルエットを作り出したかったからだ。大抵のスラックスは玉縁ポケットが用いられる。外から見たら玉縁ポケットはシンプルだが、内側には4枚の生地が重なっている。その厚みが多少なりともシルエットに影響を及ぼすことは想像に難くない。実際にはあまり使われることがない(形が崩れるので物を入れることは好ましくない)ので思い切ってオミットした。履き心地は生地を除いた分とても軽い。

「−」のボタン

ボタンは縫い進めているうちに必要がないのではないかと思い除去した。天狗を幅広にとっているので天狗の先にあるボタンとホックでしっかり固定される。結局、前あきは内側が見えなければ開いていても問題ないと考えている(当然開いていないように見せる必要があるが)。このディテールに関しては今後実験していく予定だ。

「−」の膝裏

膝裏とは主に前身頃についている裏地のことである。膝裏は脇の縫い代処理の際に一緒に縫い止めるのだが、前述したとおり脇の縫い目がないので裏地が落ち着かなくなってしまう。結果的に膝裏を省くことなったが、パターンの関係であまり生地が脚に触れないようになってるのでさほど問題はないと思う。

「+」のディテール

さて、ここまで様々な「−」について説明したが、今度はその逆の「+」について書いていく。

今回のポイント
  • もみ玉縁ポケット
  • 腰裏
  • 棒シック
  • シートピース

上記はある意味ではなくても困らないけれど、あれば嬉しいオプション的なディテールである。順番に見ていく。

「+」のもみ玉縁ポケット

このブログにも何回か登場している「もみ玉」。これはは何度やっても難しい。口幅を極限まで細くしていくが、その際にミシンがけが重要になる。落ちるか落ちないかのギリギリをガタガタにならないように仕上げなければならない。無事に縫い終わりさえすれば後は丁寧にアイロンを掛けて、抑えステッチをすれば完了。両玉縁ポケットが全自動ミシンで縫えてしまう時代だからこそ、手縫いでなければ不可能なもみ玉縁に魅力を感じるね。

「+」の腰裏

よくオーダーメイドや高級スーツのスラックスについている腰裏である。マーベルト(滑り止め付き)も見られるが、この方法はとても手間が掛かる。腰裏があることで腰回りをしっかりホールドしてくれて安定感がある。

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「+」の棒シック

棒シックとは股ぐりにある棒状の補強布のことだ。股は最も力がかかりやすい場所でもあるので付けておくと安心。股ぐりの交差地点は縫い代が密集しているので、それを隠すのにも一役買っている。

「+」のシートピース

最後に紹介するのはこのシートピース(Vノッチ)。見ての通り、V状に切り込みが入っている。たったこれだけだがウエスト部分に余裕が生まれ、より楽に着用することができる。腰芯にはダック芯と呼ばれる麻芯を使用しておりガッチリ感があるので、力を分散させるために取り入れた。

サイズについて

ウエスト80cm
ヒップ109cm
ワタリ34cm
裾幅20.5cm
前ぐり23cm
股下77cm

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