今回はジャケットの着心地を左右する肩入れと衿の処理をしていきます。肩パッドと衿がないので、通常のテーラードジャケットと比べて工程が少ないです。
作業自体は楽ですが、ちょっと寂しい気もしますね。今度はラペル付きのジャケットを作ってみたいと思います。
それでは、早速進めていきます。
奥が深い「肩入れ」。

上の画像は肩を縫い合わせた後の画像です。一見すると同じ寸法の肩線を縫い合わせただけに見えますが、実は後ろ身頃の肩線の方が2.5cmほど長くなっています。
なぜ後ろ身頃の方が長いかというと、それは肩甲骨の膨らみをカバーするためです。縫い合わせた直後はブクブクしているのですが、上の画像にある「鉄万」の上で縫い目を伸ばさないように気をつけながら肩ぐせをとっていきます。
鉄万は使用頻度が高く、ジャケットを作るのであれば買っておいた方が良いと思います。私が使っている鉄万はSMと書いてあるもので、調べたらどこにも売っていませんでした。確か文化の購買で買った気が。
もし、鉄万を買うのであれば鉄に穴が空いたタイプがオススメです。穴が空いていないと蒸気が溜まって生地が滲みたりするので。後、足にもカバーがあるタイプ。この曲線はとても有用です。そう考えればアダム一択かな。
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いせの配分も重要なポイントです。首に近づくほど、肩甲骨の湾曲は大きくなるのでサイドネックポイントに近い場所に多めにいせを入れます。
- サイドネックポイントから肩線の中心まで:6割
- ショルダーポイントから〃:4割
体型によって多少変化はありますが、いせや寸法が同じ分量というのは身体の形状からいってあり得ないと思っています。次に作りやすいように、あえて数値を決めて製作していくわけですが。誰かが言っていました、人間に直線的な部分はないと。「良い服」を極めていけば数字は定数になることはなく、むしろ歪なものになるのではないでしょうか。
今回は触れませんがいせの分量は肩線の形状とも関係があるのではないかと思います。また次の機会にでも考察してみます。
ノーカラーならではの。
①:縫い代をかがる。

ノーカラージャケットの衿の処理方法は非常にシンプルです。
縫い代を芯地にかがっていきます。この作業のポイントは縫い代の折り山に空間を作らないことです。
後から思ったのですが、縫い代は多めにつけておくべきでした。芯の厚さがあるので、それを考慮して1.5cmか2cmあれば安心です。
②:裏地を被せてまつる。

縫い代をかがったら、上から裏地を被せてまつっていきます。
特に気をつけることはありません。等間隔に糸が少しだけ見えるようにまつり縫い、それから端から7mmのところに星止めをします。
これで胴体部分は完成しました。後は袖をつければ完成です!
続く。