2.4:ジャケットの出来を左右する芯据え

📗2.1で作った芯が今回は登場する。それを表地に馴染ませていくのだが、据え方次第では芯の立体感を台無しにする可能性もあるので非常に神経を使う作業だった。

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生地に命を吹き込む

早速、芯据えについて説明していく。芯据えとは表布を補強するために、必要な部位に裏面から芯をあて、止めつける作業で、ジャケット作りの中で最も神経を使う。というのも、どちらかが少しでもズレると浮き分が出て全く着ずらい服になってしまうからだ。これは数学の問題に似ている。 1問目を間違ってしまったらそれに続く解答は全て間違いとなってしまうのと同じで、この作業を失敗したまま進めると、どんなにアイロンをかけても直らない問題が出てきてしまう。

芯据えをするにあたっては十分にアイロンを掛けて癖とりを固定させることから始める。表地にフロントダーツが入っていないが、芯地には入っているので当然2つの生地は合わない。生地の布目を気にしながら手で馴染ませるように、慎重にしつけ止めしていく。特に注意が必要なのは前肩を形作るのに大切な肩ぐせだ。しつけの順番に関して今回は省略するが、少しでもおかしいと感じたら必ずやり直すことが大事だと思う。

芯据えを終えて

芯据えが完了した前身頃を人台に合わせてみた。レディースのボディなのでイマイチ分かりにくいところもあるが、別段おかしいシワもなく大丈夫そうなので先に進めていく。

手縫いで行う「見返し据え」

次は表地と見返しを縫い合わせていく。通常のジャケットだと中表(表どうしを合わせる)にしてミシンで縫い合わせてから表にひっくり返すという作業をしていくが、今回はちょっと違う。

1. 伸び止めのテープ

テープ据えの順序
  1. チャコペーパーで表地の出来上がり線を台芯に写す
  2. 写した線に沿ってスレキのストレートテープを据える(肩線の辺りは長めに残しておく)
  3. 台芯をテープに沿ってカットする
  4. テープの内側を芯のみにまつる
  5. テープの外側は表地を少しすくってまつる
  6. 前端の表身頃の縫い代を1cmに切り揃える

地味な作業だがテープを貼ることで前端が伸びたりして歪むのを防ぐ効果がある。

2. もう見れない内部構造

ここで少しおさらいをしておく。画像左が見返しの裏面、右が表身頃の裏面だ。これから2つをドッキングさせていくが、恐らく二度と見られないので写真に収めた。本来は作り手だけしか見ることのできない風景だが、読者の皆さんにお裾分け。

3. 「味がある」ということ

画像左が見返し据えの終わった前身頃、右がその直前の前身頃。フロントに関しては全くミシンを使っていない。

見返し据えの手順
  1. 表地の裁ち端に合わせて袖側の芯をカット(袖ぐりの底は0.5cm残す)
  2. 表地と見返しを合わせて、見返しの縫い代を整える
  3. それぞれの縫い代を出来上がりに折ってまつる
  4. 外表にして折った端を毛抜き(控えず)で合わせる
  5. しつけをして絹糸で表から見えないようにまつる
  6. 際に星止め

なぜ、ミシンを使わずに手縫いでフロント処理をすると良いのか、それは「なんとも言えない味がある」この言葉に尽きると思う。そういうような理論では説明できない、合理性とはかけ離れたところを大切にしたい。また、見返しを控える必要もなく毛抜きで両面を合わせることによってギリギリの際に星止めができるという嬉しいメリットもある。

着やすさに直結する「見返しの処理」

次に見返しの処理をしていく。これがまた結構ストレスの溜まる作業なんだよね。ここは心を無にして、効率よく終わらせて次の工程に進もう。

1. 地味だけど大切な「中とじ」

中とじとは表地と裏地が離れないように糸で縫い付ける作業のことを指す。糸は緩めに縫い付けて生地の表面に響かないようにしてあげることが重要だ。

見返しの中とじの手順
  1. 前端から2cmの位置にしつけ
  2. 見返しの中心に裏から台芯のみにしつけ
  3. 内ポケットの袋布の縫い代を通り、台芯までしつけ
  4. 裏地をめくり袋布の縫い代と台芯をかがる
  5. 見返しと裏地の際にしつけ
  6. 裏地をめくり見返しの縫い代と前芯をかがる
  7. そのまま内ポケットの袋布1枚と見返しの縫い代をかがる
  8. 内ポケットの力布と袋布を胸増し芯に止めつける(2本取り)

表地か裏地の縫い代を吊れないように配慮しつつ片っ端から止めつけていく。文字に起こすと大変そうだが、実際はシンプルな単純作業である。

2. 裏布はゆとりが大切

裏地を整理するためにしつけ糸で止めていく。注意点は、後の工程のために余白を残しておくことだ。できるだけ裏地は固定しておきたいが、まだ脇入れや袖付けといった作業が残っている。なので、その先の作業に差し支えない程度に内側にしつけをしていく。それから余分な裏地をカットする。各ポイントによって縫い代の長さは異なるが、このジャケットの場合は下記のとおり。

  • 袖下:2.5cm
  • 脇線:1.3 – 1.7cm
  • ベンツ周辺:1.0cm

脇の下は運動量が多いので、多めに縫い代を付けておくと動きやすい服になる。そして、その多めの分量はきせとして後の作業で処理する。次回はサイドベンツと脇入れについて解説していく。

続く。

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