2.0:ジャケットの表地、裏地、芯地の裁断


前回、前々回とスーツの記事を書いてきたが、今回はその製作過程に焦点を当てる。普段は見れないジャケットの内部に関しても解説していくので、服を作っている人やそうでない人にも楽しんで頂けたら嬉しい。

今までの服も製作過程を画像を使って説明できれば良かったのだが、あいにく写真を撮ってなくて説明のしようがなかった。画像があればなんとか思い出せるのだけど。幸運にも、今回のジャケットに限って記録として残しておいた画像があったので誰かの参考になればいいなという思いもあり、こうして記事を書いている。ちょっと画像多めだが、工程ごとに説明しながら進めていく。

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初めが肝心な裁断

1. まずは地直しをしっかり

上の画像は今回スーツに使用した生地や副資材の全て。こう見るとシンプルなデザインでも意外と様々な生地が使われている。これらの生地を裁断していくが、まずは裁断をする前に必ず地直しをして布目を整える必要がある。なぜなら、織物に使われる繊維の性質(織り方、混紡の具合など)によって水分を吸収した時に縮んだり、歪んだりするものがあるからだ。特にコットンやウールは縮みやすく、逆に化学繊維はほとんど縮まないので水に浸けなくても問題ない。

今回行った地直し
  • 表地:刷毛で水を塗り付けて、アイロンで蒸発させることにより生地を縮ませる。その作業を両面行った後、風通しの良い場所で一晩乾かす。
  • 芯地:水の中に一晩浸けておく。それから自然乾燥させてアイロンで地の目を整える。
  • スレキ類:水に1時間浸けておき、自然乾燥。その後、地の目を整える。
  • 裏地:歪みがなかったのでそのまま使用。

たしか丸1日はかかったはずだ。詳しい生地の説明は前回したので今回は割愛する。

2. 布目を意識した裁断

裁断をする際に最も気をつけなければならないことはきちんとした布目である。布目が歪んでいると後々厄介な事になるので慎重に行わなければならない。幸いにも表地はストライプが入っていてそれが目印になるので裁断しやすかった。

ストライプは柄合せをする必要があるが、それを差し引いても無地の生地よりも確実に裁断できるという安心感はある。前中心、袖山線そして後ろ中心を特に気を付ける。ただ、中表にして2枚いっぺんに裁断するとずれるので別々にカットする必要があり時間は掛かるね。後で修正することを考えて多めに縫い代を取るとGood。

そういえば、テーラーの中には補正することを考えて何センチも縫い代を付ける人が居るそうだ。これは完全に考え方の違いだが、体型が変わりやすい人もいれば、何年も同じ体型を維持し続ける人もいるわけでクライアントに合った方を選べば問題ないと思う。今回の場合、後から大きな補正をすることはないと思って製作しているので最終的な縫い代はそこまで多くはない(既製品として)。

写真には撮っていないが、裁断した後はそれぞれのパーツ毎(表地のみ)にくせとりを行う。くせとりとはウールが持っている熱可塑性を利用した技法で、切り替え線だけでは出せない立体感をだすために用いられる。シンプルに言うと熱と蒸気で布目を曲げてしまう訳だね。本縫い時にも行うので軽めにしておく。

3. 核となる毛芯の裁断

画像左からフェルト毛芯バス毛芯。真ん中のテープは袖裏をバイアスに切ったもので、毛芯のダーツを縫う際に使う。この画像では分かりにくいかもしれないが、かなり大きめにカットした。後から表地に合わせてトリミングしていく。余る分は問題ないが、足りなかったら大変だからね。

続く。

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