2.1:ジャケットの土台となる前芯作り

前回はジャケットで使用する生地の裁断まで終わった。今回の記事ではジャケット作りでとても重要な毛芯を利用した前芯作りについてまとめていく。

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見えないけれど重要な前芯

1. 一からの台芯作り

まずは骨格となる台芯から作っていく。市販のジャケットには予め組み上げられた「出来芯」が使われることが多いが、今回は一からだ。台芯は服の中でも特に謎、というか世の中には本当に数えられないぐらいのパターンがある。それらを踏まえつつ自分の理想とするシルエットを実現するために何度も頭の中で考え、納得して初めて型紙を引くことができる。この芯地の形やダーツの取り方も私なりに考えたオリジナルだ。結果的に上手く収まったが、まだまだ改良が必要だと感じている。

2. ハリのあるバス毛芯

バス毛芯(馬の毛を使ったハリのある生地)は胸のボリュームを出すために使う。

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芯地もダーツを取るが表地とは違い、余分な厚みを出さないために突き合わせにする。その際に袖裏のバイアステープをジグザグに縫い付ける。地味な作業だが、きちんとダーツが閉じないと意味がないので慎重さが必要である。

あと、分かりにくいが袖の出来上り線や裁ち端に捨てミシンをしている。理由としては、生地が伸びないようにするためとほつれにくくするためだ。最後にダーツを入れることにより発生したゆとり分を保ちつつ、ちょっとだけ大きめにフェルトを裁断し糊付けする。フェルトを入れることで適度な厚みが生まれると共に表地との馴染みも良くなる。

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3. 台芯とバス毛芯をドッキング

でき上がった1と2をドッキングしていく。この作業は緩やかにカーブしたラバン馬と呼ばれる台の上で行う。人間の身体はなだらかな曲線を描いているのでそれをイメージしながらね。この時に気をつけるべきは肩にあったボリュームを袖ぐりに回すことだ。

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上記のラバン馬は私が使っているものと同じものである。アダムの馬は良質なのでオススメ。

着心地を左右するポイントに「前肩」と呼ばれるものがある。人体を横から見ると肩は胸を張らない限りは前に出ているものだ。特に日本人はその傾向が強いと言われている。

4. テーラリングの醍醐味「ハ刺し」

3で仮止めした芯地を「ハ刺し」で一体化させていく。1針ずつできるだけ裏側に糸が出ないように生地をすくう。2枚の生地を微妙にずらしていくことで立体的なシルエットが生まれるという訳だね。

既製品の場合だとハ刺し専用の特殊ミシンがあります。確か文化にいる時に地下でそれを見たような気がするな。ミシンでも十分な形にはなるが、やはり手縫いのさじ加減には敵わないと思う。

ハ刺しに使う糸はしろもやカタン糸、絹糸など作り手によって違ったりする。このジャケットではしろもを使っている。もしラペルが有るのなら裏から糸が見えるのでその箇所だけ絹糸かカタン糸を使う。気をつけていることは糸をきつく締め過ぎないことだ。後から何度もアイロンを当てると自然に糸が蒸気を吸って締まってくるからね。また、湾曲した外回りなので当然ですがその分のゆとりを確保しなければならない。糸の色は気にしないで。しろもと言いつつも白くないから。1回目はあかも、2回目はくろもで縫ってある。

5. 仕上げのテープ貼り

この赤色矮星みたいなのがハ刺しの裏側。最後に胸増し芯の際にスレキのストレートテープ(自分でカットした)を真っ直ぐ縫い付けていく。不思議なことにこのテープを真っ直ぐ付けることで芯のロールが固定される。

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縫うときは左手で芯をロールさせつつ、右手で芯をミシンを送る感じ。何とも器用な方法だが、縫い終わったら芯が立体になっているので感動するよ。あと、書いてないけど、各工程ごとにシッカリとアイロンを掛けてある。ジャケット作りではアイロンが非常に重要。

これで前芯作り完成

完成した前芯を人台に当ててみた。残念ながらメンズ用がないのでレディースで代用している。メンズボディ欲しいな。とはいえ逆にバストがある分、胸のボリュームが分かりやすいかもしれない。特に横から見たときなど、前肩も大丈夫そう。今回は実験として前芯を肩甲骨の手前まで延長して肩パッドを省いているが、思ったよりもいい感じ。バス毛芯の裁ち端はチクチクするのでスレキでパイピングしてある。

続く。

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